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移住者インタビュー福井 順子さん

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男木島に移住しようと思ったきっかけは何ですか。

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福井:夫が男木島の出身というのが大きいですね。休みのたびに島には来ていました。でも、直接のきっかけになったのは瀬戸内国際芸術祭かな。仕事の関係で、娘と一緒に2週間男木島に滞在しました。その時に島でもウェブデザイナーの仕事は続けられると思いました。ちょうどその頃に夫から「島に帰りたい」という話が出てきて、じゃあ移住しようということになりました。

—— 福井さんの出身はどちらですか。

福井:生まれは福島県です。島に移住する前は大阪に住んでいました。こんなに海の近くで暮らすのは生まれて初めてです。夫と結婚する時に島に挨拶に来ましたが、大皿に盛りつけられたたくさんの魚に驚きました。福島でも大阪でも、魚はひとりに1尾ずつ出てくるのが当たり前だったので。煮魚、焼き魚、唐揚げなどが大皿にのせられて「好きなだけどうぞ」ですから。いいところだなと思いました。

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—— 実家の福島に移住しようとは思わなかったですか。

福井:ご存知のように福島は今でもいろいろ大変で、私も復興のボランティア活動はずっと続けています。福島に帰ってもよかったんですが、福島にしろ男木島にしろ、地方が抱える問題は同じだと感じました。その時は二択というわけではなく、家族で話す中で男木島へ移住しました。

移住にあたって参考にしたものは何ですか。

福井:なんといってもグーグルマップです(笑)。どこに何があるのか把握しようと思って、グーグルマップで男木島も高松港周辺も調べて、一番役に立ちました。うちの場合は、夫の実家があって住居の心配をしなくてよかったという事情もあったと思います。

—— 移住に向けて、移住サイトなどは参考にしましたか。

福井:実は移住した後で見ました。昨年の夏頃から補助金の情報も充実してきたので、使いやすくなってきていると思います。

—— 移住前にしておけばいいことは何ですか。
福井:今はまだ「こうしておけばよかった」と振り返ることはできません。目の前のことで精一杯。あと3年くらいたてば言えるかな。

—— では移住前に不安だったことは何ですか。
福井:子どもの学習環境と、自分が島の人たちとどのようにコミュニケーションをとるか。あえて不安と言うならばこの2つでした。

—— その不安は解決しましたか。

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福井:子どもの学習環境は、今のところ成績が下がったりはしていないので、それほど心配していません。ただ最終的に高校進学はまだ3年後なのでわか らない部分はあるかと思っています。香川の小中学校の教育水準を調べてみると、全国的に高いというのがわかったので、そこもよかったです。大阪だとみんな塾に通って、中学校からは私立へという話もある。そういう意味では、どちらに住んでいても不安はありますからね。島の人とのコミュニケーションについては、こちらから積極的に声をかけています。はじめは私、なぜか学校の先生だと思われていました(笑)。自分から声をかけて、自分のことを知ってもらうようにしています。島の人はみんないい人で、本当によくしてくれています。ご質問は「不安は解決したか」ということですが、実のところはまだわかりません。でも解決しようと思って、私は島に図書館をつくることにしました。

移住してからの不安は何ですか。

福井:たくさんあります。島として、せっかく復活した学校を存続させるためには移住者の受け入れが必要ですが、そのための素地をどうやって作っていくか。この2年間、私は図書館を作るということを精一杯やってきて、移住者も増えましたが、まだ十分ではないと思っています。

—— 家族の方はどう感じていますか。

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福井:中学生の娘は友だちが少なくて寂しいみたいです。娘と年齢が近い子どもがみんな男の子なんですよ。中2の男の子が2人、同級生が1人。一番年が近い女の子は小2なので、同年代の女の子の友だちがいればよかったですね。ただ人数が多いことで発生する人間関係の問題も多いですし、少人数の中で目が届かないということの無い環境は良かったとも思っています。

—— 娘さんは習い事などしていますか。

福井:習い事は高松ですることになるので平日は無理。行くなら週末ですが、今のところ何もやっていません。そのかわり夫が中心となって「放課後子ども教室」というPTAの取組みをやっていて、昨年は写真教室、今年は英語教室をやっていて、ジャンさんというフランス人が英語を教えてくれています。不思議とグローバルな環境ですね。娘が大人から受ける影響は大阪と比べてすごく刺激的。贅沢だなと思います。

—— 高校からはどうされますか。

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福井:高校からは島を出ないといけないので、今から娘と話をしています。高松の高校まで船で通えますが、最終便の関係で部活ができないし、受験のための塾も難しい。義理の母の家が高松にあるので、そこから通うことになるかもしれません。

男木島の生活のよいところは何ですか。

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福井:人との距離が近いので、移住してきている若い人と一緒にご飯を食べる機会が多いですね。今41才なんですが、40才を超えて新しいサークル活動をやっているような楽しさがあります。男木島のよさをよく聞かれますが、結局のところ人がいいということに尽きます。島に遊びに来て、みんなと話をしてもらえるとこの良さをわかってくれると思います。

—— 似たような質問ですが、移住してよかったのはどんなことですか。

福井:夫婦仲がよくなったと思います。私たち夫婦は2人ともウェブの仕事をやっていて、でも一緒に仕事をやることはなかったんです。ケンカになるから(笑)。でも昔のことを思い出してみると「今は一緒にやらないけど、お互いに力をつけて一緒にできればいいね」と言っていたことがあったんです。男木島には2人で一緒にやれる土壌があった。2人で一緒にやることが増えて、コミュニケーションもふえて、夫婦仲が良くなったと思います。

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—— 香川の人はどんな県民性だと思いますか。

福井:香川と言われるとわからないけど、島の人はすごくフレンドリーですね。朝起きると魚や野菜を置いていてくれたり、いつも気にかけてよくしてくれています。お世話になりっぱなしで、どうやって恩を返そうかと思っているほどです。

—— 移住する前と後でイメージのギャップはありましたか。

福井:夫の住んでいた島で10年くらい通っていたので、イメージと違っていたことはないですね。

—— これからやっていきたいことはありますか。

福井:男木島を継続可能な集落にしていくこと。それが一番の恩返しかなと思います。

福井さんは男木島に図書館をつくられましたが、その理由は何ですか。

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福井:移住前の不安ということで、子どもの学習環境と島の人とのコミュニケーションの話をしましたが、それは私だけのことではなく、これから移住する人がみんな感じることだと思ったんです。自分自身のためにも、ほかの人のためにも、不安を解消できることがなにかできないかと考えていました。ふと自分の周りを見ると、本が好きだからたくさん本をもっていました。だったら「図書館をしよう」と思ってはじめました。

—— 図書館のための空き家はどうやって探しましたか。

福井:口コミですね。空き家バンクにないところは、現地に訪れて聞くしかありません。図書館も、まず空き家を見つけて、誰が持ち主か調べて交渉した感じです。島ってどうしても、「いくらで貸すか」より「誰に貸すか」が大事なんですよ。空き家に見えても盆と正月だけ人が帰ってきたり、傷んでいるのでそのままでは貸せないけど改修してまでは採算がとれないとか、いろいろな事情があります。借りる人が改修するなど、交渉次第でやりようはありますが、空き家バンクとして情報を出すのは難しい。この状況はどうにかしたいですが、解消するのは難しいかなと感じています。

—— 図書館をスタートさせるまで苦労がたくさんあったと思うのですが。

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福井:協力してくれる人と一緒に自分たちで改修したので大変でした。壁を崩している時とか、土を掘っている時とか、コンクリートを練っている時とかね。苦労はたくさんありました。

—— 図書館をつくるにあたっては、何か手応えがあるから動けたのですか、それとも…。

福井:私は仕事でオープンソースのWordPressに関わっています。オープンソースっていろんな人が使ったり、改良したりできるものです。だからこそ自分の力以上のことができると感じていました。それと同じようなことが地域コミュニティにも還元できるんじゃないかと思ったんですよね。ここを作るのも一人じゃできない。一人じゃできないけど、やりたい!って声をあげてみることが大事なんじゃないかと思ったんです。

—— まわりを巻き込んで行く感じですか?

福井:そうですね。自分が関わったものができるのってうれしくないですか?

—— 「ここの壁、私がつくったよ」とか?

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福井:そうそう。そういうふうに周りの人と一緒にやっていけたらいいなと思いました。責任は私が持つ。そこの覚悟だけはしていました。

—— その行動力は移住者ならではの強みでしょうか。

福井:私は夫がUターンで、島の人たちが夫を知っていたことが強みだったと思いますね。私が一人で飛び込んでやっていたらもっと時間がかかっていたと思う。ただ「何かをやりたい!」というのは、長く住んでいると踏み込みが弱くなるので、そういう意味で移住してきた勢いはあったと思います。

—— こういう活性化の取組みは、地域の人たちだけで考えても思いつかないものでしょうか。

福井:私たちがやっていることは、結果としては活性化になったかもしれないけど、活性化のためにやったわけではありません。その気楽さはあると思いますよ。

—— 島の人はおもしろがってくれていますか

福井:「妙なことをはじめたな」って感じじゃないですかね。「お金にもならんことを」って。でも「せっかくできたんだから行くよ」と言ってくれて、楽しんでくれているので、そこはよかったかなと思います。

—— 今後はどんな場所にしていきますか。

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福井:今、すごく注目していただいて、いろいろなメディアにも取り上げてもらって、男木島を知ってもらうという意味ではありがたいと思っています。でもこれから私がここを使って何をやっていくのかが大事だと考えています。島の人に愛される場所にしていきたいです。

—— 島のおばあちゃんコーナーとか、島のレシピコーナーとかがあっても良さそうです。

福井:そうですね。そういうのがいいですね。今は「おしゃれだ」と言ってもらえるけど、人の雰囲気をそんなに感じないので、もう少し人の雰囲気を感じられるように手を入れていきたいです。ただ、まだ本の整理も追いついてなくて、まだそこが直近の課題です(笑)。

—— 図書館を通じてこれからやっていきたいことは何ですか。

福井:まずは図書館を継続するために、模索していくことになります。図書館は非営利だから維持費の問題もあります。私もつきっきりにはできないし、ボランティアで運営できるのか、新刊を入れるのはどうするとか。普通の人はそこを考えてからやるんでしょうけど、私はやりながら考えているので(笑)。もし失敗しても、その経験を生かせればいいなと思っています。自分の頭の中だけで、失敗しないように考え続けても何も生まれないし、何も島に波及しない。まず動いて、それを見てもらうのが私たちの第一歩かなと思ってやっています。

これから移住したい人にアドバイスをお願いします。

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福井:気持ちを強く持って、とにかく飛び込んでみたらうまくいくと思います。まずは来てみて、経験することから始めてはいかがでしょうか。島に移住すると貨幣価値が変わります。例えば街で住んでいる時の1万円は、夜2回ご飯食べに行ったら消費する1万円でした。でも島での1万円は「この1万円を元手になにをしようか」と、実際にできることがある。そういう価値観の転換というのは、何かやりたい人にはおもしろいと思います。

—— 本日は、ありがとうございました。

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